調剤薬局と人手不足とDXの第2弾です。
ここでは、服薬指導、会計・在庫管理などについて、ご説明します。
・投薬(服薬指導)について
投薬(服薬指導)に関するDX化は、服薬指導自体をIT化することは法律も相俟って難しいのが現状です。
一方で、昨今服薬指導の内容をAIで提案してくれる等の電子薬歴が有名です。このタイプの薬歴は、服薬指導をしながら薬歴を作成することもできるので、薬歴の入力に関しても当然時間短縮になるでしょう。
また、薬歴の入力という観点で言えば、最近の電子訳例は音声入力が可能であったり、定型文を入力することもある等薬歴の入力効率化が図られているので、そういった観点からも効率化を検討するのが良いでしょう。
・会計について
意外と投薬後の会計処理はそんなに効率化できないのでは?と思われる方も多いと思われます。しかし、会計はその後の経理処理の前提となりますし、薬局あるあるのレジのお金が合わず、誰でずれたのかを確認する作業で、やむなく残業をすることもあります。そこで、POSレジの導入の検討を進めるのはいかがでしょうか。
レジスターと異なり、POSレジでは通常の会計のみならず、小口現金や経費で出費した内容に関してもデータとして残すことができます。また、会計ソフトとも連携可能なPOSレジも存在するため、経理処理という観点でも効率化を図ることができます。
お金が合わないような場合でも患者さんの氏名と金額に照らして一人一人確認が可能です。
このように会計という面でもDX化は可能となります。
・在庫管理について
対患者さんへの対応ではありませんが、薬の在庫管理に関してもDX化しすることも可能です。まだまだ、薬の空き箱をとっておいて、業務終了後等にバーコードをひたすら読み取りを行い発注するといった作業を行う薬局さんも少なくありません。また、個別に管理をしている患者さんを紙で管理するなんてこともあり、なかなかに手がかかります。また、年1回の棚卸以外では在庫の数が分からないなんてこともあり、実際に過誤が起こったとしても薬の数が正しいかどうかわからないなんてこともあります。
昨今では在庫管理システムも進化しており、発注点を決めれば自動的に発注候補を挙げてくれたり、個別管理の患者さんの情報を登録しておくと、処方日からその患者さんの来局日が近づくと教えてくれたり等様々な機能があります。また、箱発注に比べ、自動発注は在庫を絞ることもでき、浮いた分の金額が利益となることもあります。
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このように、日常的な業務においてもDXにより効率化や正確性を高めることが可能です。人手不足の状態やこれからの備えとして、一度業務の見直しとシステムの導入を検討してみると良いかもしれません。
もっとも、DXを行うためには、費用と局所的ではありますが、労務負荷が高まります。費用に関してはリースで対応して分散するなどすれば、最終的には投資回収可能でしょう。また、薬局の繁忙期である冬等は避けてある程度余裕のある夏場などに行うのが良いかと思います。
今後、調剤薬局業界は様々な変革が予想されます。リフィル処方箋等が良い例で、電子処方箋との連携も想定されます。その変革に備えるという意味でも、足元からの薬局のDX化を推進させ、なるべく早く準備を整えておくべきでしょう。
弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所
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